どんな寺院?
奈良には数えきれないほどの見どころがあるが、その中でも絶対にはずすことができないのが薬師寺だ。
南都六宗のひとつに数えられる日本における現存最古の宗派、法相宗の大本山で、白鳳時代の西暦680年に天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒を祈願して建立を発願したのがはじまり。
天武天皇が崩御した後はその意志を継いだ太上天皇が完成させた。
698年にはほぼ建立が終わり、講堂阿弥陀大繍仏の開眼供養を行い僧侶を住まわせ始めたが、寺院は現在の場所ではなく飛鳥地方にあったらしい。
710年平城京へ遷都があった後の718年現在の場所に移転したが、当時の建造物などは何度かの火災でほとんど失われてしまい、奈良時代にさかのぼる建造物は東塔だけとなっている。
20世紀半ばまでほかの建造物は江戸時代後期に再建されたものが残っていたが、1976年に金堂が再建された以降多くの建造物が復興事業の一環として再建されたため、見た目にはかなり新しく正直言ってわびさび的なものはまったく感じられない。
本尊の薬師如来が国宝に指定されているほか、境内には東塔をはじめ国宝が9点、重要文化財が25点もある。
1998年には世界遺産に登録された。
自分と同じような年代で、中学校生活を東京で過ごした人はたぶん修学旅行で訪れていると思うが、おそらくほとんど記憶には残っていないだろう。
修学旅行とかだとあわただしく短時間で見学を終えてしまうと思うが、年齢を重ねてから再び訪れ知識を増やした上でひとつひとつの建造物や仏像などをじっくり見てみると、そのすばらしさに心を打たれるはずだ。
ロケーション
奈良市の南西部に位置する。
近鉄西ノ京駅すぐだが、JR奈良駅と近鉄奈良駅からバスでもアクセス可能。
自分のように車を運転していくなら、寺院の南側の少し離れた場所に大きな駐車場があるのでそこに車を止めてから徒歩で歩いていくと南門に行き着くのでそこから境内に入ることになる。
ちなみに、この南門は重要文化財に指定されている室町時代後期の1512年建造で、もともとは西院の門であったものだ。
TEL:0742-33-6001
WEBSITE:https://www.yakushiji.or.jp/
おもな見どころ
中門
金堂や東西塔が控えるメインエリアの入口にあたり、両側に回廊が続いている。
現存しているのは1984年に再建されたもの。
金堂
メインエリアの中央に建ち、薬師寺の本尊で奈良時代の仏教彫刻の最高傑作のひとつと言われる薬師三尊像が安置されている。
堂の建物自体は1528年に焼失しその後はずっと仮のものだったが、昭和期最大の木造建築物建物として昔の書物を参考に1976年に再建された。
西塔
薬師寺で創建当時より唯一現存している東塔は現在解体修理中で2020年完成予定、ということで見ることができなかった。
その向かいに建つ西塔は1528年に戦災で焼失してしまい、現在のものは1981年に伝統的な技法で再建されたものだ。
自分は東塔を見れなかったので確認できなかったが、両者は造りが微妙に異なっているらしい。
大講堂
横幅41m、奥行20m、高さ17mメートルという境内で最大の建造物。
経典を学習する大人数の修行僧を収容するため金堂より大きいが、これは古代伽藍では通常のことらしい。
白鳳文化の仏教建築の特徴に忠実に2003年に再建されたもので、本尊の銅造三尊像は重要文化財に指定されているが制作時期などについては不明のままだ。
玄奘三蔵院
メインエリアの北側にある、1991年に建立された新しい建造物。
内部には、日本画の巨匠平山郁夫が30年の歳月をかけて制作した縦およそ2.2m長さ約およそ49mの13枚からなる「大唐西域壁画」がある。
南門そばにあるおすすめ奈良漬の店「本家寿吉屋」
自動車で薬師寺を訪れた人におすすめの店が、奈良漬の「本家寿吉屋」だ。
南門を出て右手すぐのところにあるので、気軽に立ち寄れる。
外観はパッとしないが、店内にはさまざまな漬物が並んでいて試食もできる。
「奈良にうまいものなし」と言われ、自分の印象としては確かにその通りだと思えるのだが、ここの奈良漬は本当においしいのでお土産に最適だ。
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