昔ながらの飲み屋街、荒木町
東京のど真ん中、新宿区の南東部に荒木町という場所がある。
「四谷荒木町」とも呼ばれることからわかる通り、最寄りの駅は東京メトロ丸の内線の四谷三丁目で、JRの四谷駅から歩いてもたいして距離はない。
ウィキペディアによれば、ここは江戸時代は美濃国高須藩藩主・松平義行の屋敷で大きな池のある庭園つきだったのだが、明治になると屋敷がなくなりそれが人々の知るところとなり、東京近郊でも名の知られた景勝地として料理屋が軒を連ねる花街となったらしい。
太平洋戦争の空襲によっていったんは壊滅状態となったが、その後再び路地裏に飲食店が集まるようになり、かつての花街、そして昭和時代の雰囲気を色濃く残した場所として人気を集めているという。
自分は、現役時代割と近くに仕事場があったことから、年中荒木町に繰り出していたので大変なじみのある場所だ。
こじんまりとした焼き鳥居酒屋「鶏ひで」
今回ご紹介する「鶏ひで」は、そんなレトロな雰囲気が漂う荒木町の「車力門通り」といういかにもそれっぽい通り沿いにある店だ。
住所:新宿区荒木町3
TEL:03-3353-6084
新宿通りからだと50mほど路地を進んだ右側になる。
この路地に並ぶ店としては典型的な外観
店内も非常にこじんまりとしており、カウンターを含めて14~5人も入ればいっぱいになってしまう感じだ。
カウンター周りには焼酎が並んでいる
1本づつ焼きたてが出てくる
自分は、チェンマイから一時帰国したタイミングで現役時代にお世話になった先輩方から誘われ店に行ったため注文は基本的におまかせだったのだが、5~7本セットのコースが基本でそこに単品を追加していく感じになるようだ。
一番乗りで店内に入ったので先輩方を待っている間にメニューも見てみたのだが、全体的に値段は安いと思った。
まずはビールに突き出し
焼き鳥は、1本づつ出てくるのがよい。
こちらの食べ進む頃合いを見計らって出してくれるので焼きたてが食べられるというだけでなく、1本1本味わうことでそれぞれの素材や手のかけかたの違いなどをよりハッキリと受け止めることができるのだ。
先輩方との会食で、それぞれの串の名前をメモすることができなかったので写真だけのアップになってしまうが、出来のよさは感じていただけるのではないだろうか。
鶏の煮こごりが珍しい。シメの鶏スープが抜群
焼き鳥が看板の店なのでそれがおいしいのは当然として、この店がすばらしいのはそれ以外のサイドディッシュ(?)に出色のできのものがあることだ。
珍しい、ということで言えば、店の名物となっているらしい鶏の煮こごりだろうか。
鶏なので普通口にする煮こごりに比べるとずっとあっさりしていて、最初口に入れた時には「ちょっと物足りないかな?」と思ったのだが、食べていくうちにその旨味がだんだんと口全体に広がって来て、味わい深いものになったのには驚いた。
一方、一口目から絶品なのがこれまた名物になっておりコースを頼んでも必ずついてくる鶏スープだ。
陶器の小さめのビールグラスのようなものに入って出てくる鶏スープは、焼き鳥メインの店なので当たり前だが素材の鶏の質のよさが存分に楽しめる。
量的には二口三口で終わってしまうのだが、「う~ん、もっと飲みたい」と思ってしまう出来栄えだ。
ゴマがまた絶妙なアクセントをスープに加えてくれているのもよい。
路地の雰囲気を感じつつ焼き鳥を楽しもう
焼き鳥をウリにしているのでそれはもちろんなのだが、上記の通りほかの料理もていねいな仕事をしているのがわかる出来ばえで、とても好感が持てる。
また、店の周囲は昭和のレトロな雰囲気の漂う路地沿いに小さな飲み屋を中心とした店が立て込んでいる。
最寄りの東京メトロ丸の内線の四谷三丁目駅から歩けばほんの2~3分だが、どうせならそんな荒木町の空気を感じつつ、帰りはJRと東京メトロの四ツ谷駅、あるいは都営新宿線の曙橋駅まで酔いをさましつつウロウロと歩いてみることをおすすめしたい。
なお、店の営業時間は18時~22時、土・日・祝が定休日となっている。
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