ご祈祷を受けるため高野山へ
タイのチェンマイから年に2回、5月から6月にかけてと11月から12月にかけてそれぞれ2週間ほど日本に一時帰国している。
その時には日本国内を旅するのを楽しみにしているのだが、初夏に戻った時には必ず高野山のふもとにあるとお気に入りの寺院に行って持病平癒のご祈祷を受け、その後は関西方面をドライブするのが恒例になっている。
この年も事前に寺院に電話をしてご祈祷の予約を入れ、当日の朝5時に東京を出発、首都高、東名&新東名高速、伊勢湾自動車道、東名阪自動車道、国道25号線、京奈和自動車道と乗り継いで寺院に向かった。
例年、ご祈祷を受けるまでに時間の余裕がなく、朝食やランチは高速のサービスエリアでサクッと済ますか売店でパンやスナックを買って食べながらドライブ……というパターンなのだが、この時は道中が非常に順調でどこかに立ち寄って食事をとる時間があった。
しかし、店のあてがあるわけではない。
ただ、「せっかくの和歌山なのだから、毎年来ているのに一度も食べたことがない和歌山ラーメンにしてみようよ」とカミさんと意見が一致し、京奈和自動車道に入ったあたりから彼女がスマホで店のリサーチしはじめ選んだのが紀の川市にある「大福軒」という店だった。
食堂風の店構え、おじいさんがひとりで切り盛り
店は、国道24号線沿いにある。
TEL:0736-73-2687
京奈和自動車道を紀の川東出口で降り、10分ほども走れば店に着く。
赤地に白い文字の看板が目立つので見逃すことはないと思う。
店構えは、地方だったらどこにでもあるようなロードサイドの小さな食堂、といった雰囲気だ。
店内は小学校の教室をひと回り小さくした程度の広さで、中央に12人が座れる大きなテーブルがドーンと置かれており、その周囲、というか店の壁ぎわに4人がけの席がいくつか用意されていた。
まだ、11時半少し前で昼のピーク時ではなかったため、客はほかに2組がいただけだった。
中のキッチンは結構広いが働いているのはおじいさんがひとりだけで、自分たちが店内には入った時にも先の客の注文を調理しているのだろう、忙しく手を動かしていた。
相席用と思われる中央の大きなテーブルの上にも、帰った客の食器が片づけられずそのまま残されている。
それでもおじいさんはすぐに注文を取りに来てくれた。
キッチンカウンターの上に短冊状に貼られていたメニューは
大盛中華そば
味噌ラーメン
塩ラーメン
タルタルラーメン
チャーシューメン
キムチラーメン
卵とじ中華そば
焼飯
天津飯
キムチチャーハン
餃子
焼豚
ニラもやし炒め
小エビ天
ですべてだった。
お店の造り同様シンプルで素朴な中華そば
ウィキペディアによれば、和歌山ラーメンとは
<中略>
麺は縮れのない(ストレートの)細麺が一般的。色は黄色い。
<中略>
具は、刻んだ青ネギ、メンマ、チャーシュー(モモ肉)などのほか特徴的な具として蒲鉾、またはかまぼこ型にナルト模様が入った「千代巻」が入る。
<中略>
薬味は基本的に胡椒のみであり、ニンニク、背脂などはまず置いていない。
<中略>
和歌山ラーメンには大きく分けて、「醤油ベースの豚骨醤油味」と「豚骨ベースの豚骨醤油味」の2つの系統がある。
<中略>
一般にラーメンと呼ばれるものは「中華そば」と書かれている。
とされている。
なので、この店でも注文は品書きの一番最初に掲げられていた中華そばだ。
おじいさんが調理から配膳まですべてひとりで切り盛りしており「だいじょうぶかな」と少し心配だったのだが、中華そばが出てくるのは早かった。
店内には豚骨ラーメンの店独特の臭みがなかったし、スープも白濁しているわけではなかったので、ウィキペディアの分類にしたがえば「醤油ベースの豚骨醤油味」ということになるのだろうか?
味もあっさりしており、そこに合わされた中太麺、かまぼこが入っているところなど、懐かしくてやさしい感じの味で自分は気に入った。
朝5時に東京を出て途中ほとんど何も食べずに来た、というのもあるが、スープまで完食だ。
自分たちが食べ終わって会計をする頃には、店内も満席になっていた。
粉河寺に観光ついでに立ち寄ってもよい
店はどちらかというと紀の川市の東寄り、粉河の街にちかいところにある。
粉河には奈良時代末の創建で僧兵を抱えるなど半独立国のような形で宗教活動を行っていた名刹、粉河寺があり、大福軒から自動車で10分ほどしか離れていないので、観光ついでに寄ることも可能だ。
自分は和歌山ラーメンを食べたのはこれが初めてで味を云々できるほどの知見も経験もないのだが、単純に言ってこの店の中華そばの味はシンプルな素朴な風味で好感を持った。
もし、また次の年に高野山にご祈祷を受けに行くとして、この近辺でランチを食べるとしたらぜひ立ち寄りたいと思った。
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