南魚沼の山の麓たたずむ8世紀創建の禅寺
谷川岳を源として新潟県の南部を流れる信濃川の支流、魚野川に沿って広がる魚沼盆地の東にそびえる標高1,369mの金城山という山がある。
その麓の木立の中に建ち「越後一の禅寺」、「日本一の庵寺」とも称されるのが「雲洞庵」だ。
寺院に設置されている説明書きによれば、養老元年(西暦701年)に飛鳥時代から奈良時代前期にかけての貴族だった藤原房前が母の霊を供養するため尼寺を創建したのが開祖とされているという。
そしてそこから約700年後の室町時代の応永27年(1420年)になって関東管領(管内の政務の統轄を鎌倉公方の補佐として行った)の上杉憲実が曹洞宗の名僧挿草開山傑堂能勝禅師を祀って禅寺として庵を開創し戦国時代は上杉謙信と武田信玄がこの寺院に帰依したとのこと。
以降、北越無双の大禅道場として、また女人救済の庵寺として栄えて来たという。
関越自動車道の塩沢石内インターから15分
「雲洞庵」は、自分のように自動車のハンドルを握って東京から来た場合、関越自動車道の塩沢石内インターで降りて15分ほどのところにある。
インターチェンジを降りて突きあたったら左折、県道28号線をずっと進み小さな川を渡ってT字路に着いたら右折、すぐにあるコンビニの脇を左折して細い道に入る。
両脇に田んぼが広がる細い道を進み突き当ったら左折、山すその道をしばらく行ったら右折して麓の坂道を300mほど登ったところに寺院はある。
曲がり角などのポイントにはほぼすべて案内看板が出ているので迷うようなことはない。
駐車場は結構な広さがあり、よほどのことがない限り満車になるようなことはないだろう。
境内の見どころ
この寺院は拝観料300円を徴収しており、駐車場の前にある入口でお金を払ってから境内に入る。
拝観料を支払うところに、寺院について簡単な説明と境内マップが印刷されたペラ紙が置かれているのでもらうといい。
入ってすぐ右に伸びている通用参道を使っても本堂に行けるが、それだとこの寺院のある意味最大の見どころである赤門と美しい参道をパスしてしまうことになるので、左手に進もう。
赤門
永享元年(1429年)の建造だが、現存しているのは江戸時代に再建されたものだ。
かつては皇室関係者や大名の来山、年1回の大般若会の時だけしか門を開かなかったことから、「開かずの門」という別名を持つ。
門の入口には、絵馬が多数ぶらさげられた巨大なわらじ(たぶん)が置かれている。
参道
赤門から本堂に続く参道は両脇に杉の大木が並び、また至るところに苔むした地蔵が安置されている。
参道の石畳の下には法華経が一字一石に記され地下1mのところに埋められており、その上を踏みしめて歩くことで罪業消滅・万福多幸のご利益があるとされている。
上記の通り赤門が特別な時以外開かずこの参道もめったに歩くことができなかったことから、昔から「雲洞庵の土踏んだか」といわれ、特にこの寺院が篤く信仰される理由ともなったらしい。
本堂
参道を抜けた正面、池の先にあるのが本堂だ。
室町時代の永享年間に上杉憲実によって建立、江戸時代に新潟県出雲崎の大工である小黒甚内を棟梁とする大工たちによって再建されたもので、間口14間、奥行10間半あり新潟県指定文化財となっている。
本堂は参道よりも少しだけ高い位置にあり、正面中央の池の脇には階段状になった滝が造られていて金城山から湧き出て来るのだろう、豊かな水が流れている。
ご本尊は釈迦牟尼仏だが、お祈りできる場所からは少し距離があってイマイチよく見えないのが残念だ。
本堂の両脇は回廊で結ばれた坐禅堂や観音堂、庫裏などがある。
基本は禅寺なので他の宗派の寺院ほど華美な装飾や仏像などが並んでいるわけではないが、ところどころにおもしろい木仏が置かれていたりするのでゆっくり見て回るといいと思う。
自分は見学しなかったが、宝物殿もあって寺院ゆかりの歴史的な品々が収蔵されているようだ。
魚沼盆地を訪れたらぜひお詣りしよう
自分のような東京の人間にはあまりなじみのない寺院ではあるが、木立の中の斜面に建ち境内には金城山の雪解け水が流れる美しいたたずまいで、魚沼地方を旅するならぜひ立ち寄ってほしい寺院だ。
高速道路のインターチェンジからの田園や山すその風景などもすばらしく、寺院周辺をドライブしても楽しいと思う。
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